現実逃避の何が悪い

小説だって若者の読み物だと過小評価されていた時代はありました。ならば、ゲームや漫画やアイドルだっていつかは大衆に認められるはず。微力ながら、そういうお手伝いができればよいと思っています。

細田守のユートピア

最近、細田守監督についてよく考えることが多いのですが他の作家とは何が違うのかと物思いに耽っていてふと思いついたのは細田守の理想郷のはなんなのだろうかということです。

たとえば、ジブリ宮崎駿ユートピアはまさに人間のいない世界、もしくは人間がヒエラルキーの頂点ではない世界だと僕は思います。『ナウシカ』にしろ『ラピュタ』にしろ、人間が入り込めない世界を本当に美しく描いてます。

これは『ドラえもん』の藤子F不二雄も似ていて、彼の考えるユートピアは完全なエコロジーな世界。緑を一切汚さない循環型の世界こそ美しいと彼は考えていたのでしょう。彼の作品に多く触れてしまったので僕自身もかなり影響されました。『映画ドラえもん 雲の王国』の『ノア計画』とかはどちらかというと賛成派ですからね(笑)。

そんな後世にも語り継がれるような作品を残した作家は何らかのユートピアを自分の中に描いていると思います。では、細田守はどうなのだろうか?上で挙げた2人のように自然は大好きなようですが、『時をかける少女』や『バケモノの子』を見ているとそれがユートピアではないと僕は思いました。意外と、今時の都会の風景も好きなのではないかと……。彼の作品には必ず現実世界と相対物としての世界が描かれます。かといって、そのもうひとつの世界は彼の理想郷というよりは現実世界の本質を浮き彫りにするためのツールのように扱っているのではないでしょうか。しかも、肯定的に現実世界を描いているところが彼の作品が愛される所以だと僕は思います。彼の描く世界についてもっと考えていきたいと思います。

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