現実逃避の何が悪い

小説だって若者の読み物だと過小評価されていた時代はありました。ならば、ゲームや漫画やアイドルだっていつかは大衆に認められるはず。微力ながら、そういうお手伝いができればよいと思っています。

なぜ「幕が上がる」はキネ旬映画賞に輝けなかったのか。

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最近、様々な映画賞が発表されていますね。去年は洋画が豊作で、邦画が例年に比べると勢いがなかったように思えます。『幕が上がる』はそこそこよい位置にいくのではないかなと思っていたのですが、残念ながら報知映画賞のみでしたね。

 

日本アカデミー賞は話題性はありますが、大したものではありませんので気にしなくていいでしょう。ただ、キネ旬は取りたかった。特集も組まれたし、ある程度の映画ファンの目には止まったと思ったのですが、叶いませんでしたね。

 

邦画ベストテンにも入らない結果でした。なぜこのような結果になったのでしょう。映画の好きな父も絶賛していた作品だったにも関わらずノミネートもされなかった。黒木華が助演女優賞をとりましたが、『幕が上がる』がフォーカスされるかは微妙なところだと思います。

 

私が思うに、本広監督のやさしさにあると思います。彼はとても丁寧に映画を作っていたと思います。ももクロメンバーは素晴らしい演技を見せてくれました。ただ、本広監督が元テレビ屋のせいか、何かを表現したいよりもお客さんを楽しませるという方向に先行しすぎたのではないでしょうか。天竜源一郎や松崎しげる、モノノフには分かるネタ。本広監督は一番のターゲットであるモノノフに対するサービスをたくさんしてくれました。ただし、それが仇になったのではないしょうか。ほんのわずかな役であってもそういう行為が作品の世界観を壊す。この映画のもうひとつのテーマは「演劇」でした。オリザさんもこれで演劇部員が増えればという願いを込めていました。

 

もちろん、この映画は演劇の面白さを伝えるのにはとてもいい作品だと思います。ただ、唯一あーりん演じる明美がスランプから這い上がる場面がイマイチ伝わらなかった。どのようにして、さおりが彼女を救い出したのかが表現されていなかったと思います。挫折し、そこから立ち直る。この一連の流れを明確すれば演劇の面白さが伝わったのではないでしょうか。モノノフへのサービスを削ってでも、そういうのが欲しかった。

 

たくさんの映画賞を取ることはできませんでしたが、だからといって作品の質が落ちるわけではありません。やはりこの映画を語り継ぐのは我々モノノフの指名でもあると思います。これからも色んな知り合いにこの素晴らしい映画を伝えていきます。

 

とはいっても、続編を作るという話がありますが僕は嫌ですね。早く本広監督は普通のモノノフに戻るべきです。これからも『幕が上がる』のような路線の映画を彼には作っていってほしいです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。